患者の魂の不安や恐怖に寄り添って支えるチャプレン・カウンセラー

終末期医療における霊的苦痛の緩和(スピリチュアルケア)の重要性は世界保健機関(WHO)でも認められています。

緩和医療では、身体的、精神的、社会的な苦痛の緩和だけでなく、生きる意味や目的の喪失、不条理な苦痛などの霊的苦痛の緩和が大切とされています。

医療は病気の治療や身体的苦痛の緩和はできますが、霊的苦痛は宗教家の助けが必要となることから、海外の総合病院や緩和ケア病棟、小児病棟などには宗教学、哲学、精神医学、心理学などの一般教育や、病院での臨床訓練を受けたチャプレンが常駐しています。

チャプレンは患者の苦痛に耳を傾け、その苦痛に寄り添う援助を行います。特に、不安、恐怖、怒り、絶望感、孤独感、虚無感、疎外感などに囚われる患者の内的世界に光をあてます。

チャプレンは患者とその家族への癒しを担うだけでなく、病院や施設のスタッフの苦悩にもかかわるので医療チームとして重要な役割を果たすことができます。

患者とその家族の見えない不安に音楽でアプローチする音楽療法士

近年、医療の世界では音楽・医学・心理学の専門知識を有した音楽療法士が音楽の普遍性、多様性、非言語性によって患者にアプローチをするという新しい患者ケアの方法が広がりをみせています。

緩和ケア病棟では音楽療法士がピアノやギター等の楽器を演奏し、患者やその家族が鑑賞を行なうという受容的な音楽療法が主なスタイルとなっています。緩和ケアチームにおける音楽療法士の役割は以下の3つに分けることができます。

まず、音楽によって非言語的な感情への働きかけることにより、患者にとって負担が少ない状態でこれまでの人生を自然に振り返り、回想することができるという点です。

2つ目は、患者の持つ気分・感情にあった音楽を演奏することにより、音楽の持つ気分転換の効果を最大限に発揮させることです。患者が好きな音楽であってもその日の気分にあっていないこともあれば、スピードや音量があっていないこともあります。音楽療法士は患者のその日様子を見ながら異なる局を演奏したり、その場で即興したりするなどの工夫が求められます。

3つ目は、音楽療法の対象が患者だけでなく、家族まで及ぶことです。患者のために家族が何かをしてあげたいという気持ちを、演奏したり一緒に歌ったりすることで、家族の想いを自然な形で汲み取ることができます。このように音楽療法士は、音楽の特性を活かすことで、患者と家族の見えない不安に対してアプローチを行います。