口腔衛生管理の専門家である歯科医師の参加により質の高い緩和医療の提供が可能に

緩和医療を受ける患者は、全身状態が悪化したためにセルフケアを行うことが困難となり、口腔トラブルが生じやすい状態にあります。

しかし、がん性疼痛や全身倦怠感などの他の症状に医療者の注意やケアが集中しやすいため、口腔衛生の問題は後手に回りやすいという指摘がありました。

従来、がん終末期の患者の口腔は、最後まで経口で栄養が摂れるように看護師が口腔清拭を行ってきました。しかし、終末期の患者は痰、剥離上皮が口腔粘膜や舌への付着による口臭、会話困難、咀嚼・嚥下困難など、衛生管理は困難を極めることが多く、医療者が使用できる器具や薬剤も限られており、対応に限界があったのです。

「患者中心の医療」が第1次がん対策基本法に盛り込まれたことを受け、歯科医師や歯科衛生士が、がん終末期の患者の口腔ケアに従事するようになりました。その結果、対症療法ではあるものの、一時的に口腔乾燥や味覚障害、嚥下・咀嚼機能障害、カンジダ感染症、口臭などの不快症状が緩和できることが報告されました。

がん緩和の医療現場で、歯科の口腔衛生管理に関する知識や技術が共有できれば、より質の高い緩和医療の提供が可能となります。第2次がん対策基本法では、口腔ケアを医科歯科連携で行うことが明記されました。緩和医療チームに歯科医師や歯科衛生士が参加することが当然の時代がやってきたのです。