治療困難となった患者がその人らしい生を全うするための援助を提供する場所です

がん患者が抱えている肉体的、精神的、社会的、スピリチュアルな苦痛を和らげ、最後まで患者が自分らしく生活できるように専門的な知識と技術を提供するのが「緩和ケア病棟」です。

緩和ケア病棟は、国が定めた一定の基準を満たした施設に対し、医療保険から定額の医療費が支払われます。その施設基準は、主として末期の悪性腫瘍の患者またはAIDS(後天性免疫不全症候群)の患者を対象としています。看護師の数は入院患者1.5人に対して1人以上、常勤の医師がおり、その他の体制や構造設備が基準を満たしていることです。

緩和和ケア病棟への入院の目的は施設によって異なりますが、@生活の場→看取り、A症状のコントロール、B介護者の疲れを癒すための短期入院、の3つが一般的です。入院の条件は、病名告知がなされており、患者自身が入院を選択していることが理想です。

緩和ケアの最終目標は、「その人がその人らしい生を全うできるように援助を行なう」ことにあります。実際には、疼痛などの症状の緩和、心のつらさへの配慮、医師、看護師、薬剤師らによる患者・家族の支援、コミュニケーションなどを大切にして、患者や家族にアプローチを行います。

緩和ケア病棟には医療とケアの二つの側面があり、どちらか一方だけでは十分ではありません。病状が深刻になるに伴い苦しみの原因が多彩となり、複雑になるため医師だけでは対応できません。身体的な苦痛だけでなく、精神的な苦痛、家族との関係や自己の存在などにかかわる苦痛を緩和するためには、看護師、薬剤師、心理士、ボランティアなどがチームとして支援できる体制が必要となります。

がんの緩和ケアは、がんと診断されて、つらさが自覚された時点で始まります。緩和ケア病棟は病気が進行して治療が困難となった患者や家族に対して、その人らしい生を全うするための援助を提供する場です。

患者やその家族には現在でも緩和ケア病棟を「死ぬための病棟」という誤解があります。確かに入院する多くの患者の最終的な到達地点は死となりますが、生に焦点を当てるのが緩和ケア病棟です。