抗がん剤治療前に肝障害、ウイルス性肝炎の有無を把握することが重要です

抗がん剤の投与によって発現する肝障害の多くは細胞障害性機序に基づくもので肝細胞壊死を起こします。メトトレキサート、ゲムシタビン、カペシタビン、パクリタキセルなどが肝障害の発現頻度が高い抗がん剤となります。

また、分子標的薬のイマチニブ、スニチニブ、ゲムツズマブなども頻度が高くなっています。肝臓毒性の多くは用量依存ですので、大量投与や長期投与によりその発現率は高くなります。

ブスルファンやダカルバジンなどでは重大な副作用として静脈閉塞性肝疾患も報告されています。フルタミドは劇症肝炎などによる死亡例も報告されており、警告がなされています。月1回以上の頻度で肝機能検査を行い、異常が認められた場合には投与を中止します。肝障害のある患者への投与は禁忌です。

タモキシフェンは劇症肝炎、肝炎、胆汁うっ滞などの重篤な肝障害が現れることがあります。症状は急激に発現するので、初期症状として発熱、筋肉痛などの感冒様の症状発現時には注意が必要です。肝障害の多くは肝細胞障害によるものですので、抗がん剤の投与後3日〜2週間で発現することがほとんどです。

肝障害への対策としては、抗がん剤治療を実施する前に血液性化学検査などによって肝障害、ウイルス性肝炎の有無などを把握しておくことが重要です。リスクを把握した上で、早期発見するために全身倦怠感、食欲不振等の症状を服薬指導時にモニタリングします。

対症療法としては、ウルソデオキシコール酸やグリチルリチン製剤の投与であり、黄疸が遷延する場合には、副腎皮質ステロイドが有用な場合もあります。

一般的にAST値、ALT値が300IU/L以上に上昇した場合には抗がん剤治療を休止し、それぞれの値が100IU/L以下に低下したら再開を考慮します。それぞれの数値に上昇が見られずビリルビン値の増加のみである場合はジルベール症候群など、体質性の高い高ビリルビン血症と考えられるため、休薬の必要性は低いといえます。