脱毛による精神的な苦痛でがん治療を継続できない場合もあるので、心理的サポートが重要

毛根細胞は細胞分裂の活発な細胞ですので、化学療法や放射線療法の結果、脱毛が比較的高い頻度で発生します。特に女性の場合は心理的な影響が大きいため、看護師によるケアが重要となります。

脱毛が高い頻度で発現する抗がん剤の代表としては、ドセタキル、パクリタキセル、アムルビシン、ドキソルビシン、シクロホスファミドなどがあり、添付文書で高い発現率が示されています。

そのほか、抗腫瘍抗生物質のアクチノマイシンD、イダルビシン、エピルビシン、ブレオマイシン、アルキル化剤のイホスファミド、エトポシド、ビンクリスチン、ビンデシン、代謝拮抗薬のメトトレキサート、プラチナ製剤のシスプラチン、カルボプラチンなども比較的高い頻度となっています。

脱毛の発現時期は抗がん剤投与後2〜3週間後が多く、連投により1〜2ヵ月後が顕著となります。抗がん剤の毛根細胞への影響は一時的なため、投与終了後3〜6ヶ月ほどで回復しますが、色調や髪質などが以前の状態に戻らないこともあります。

抗がん剤の副作用による脱毛の予防法としては、頭部冷却によって毛根細胞への抗がん剤の以降を低下させう試みもなされていますが、必ずしも満足な結果は得られていません。また、頭部冷却法は、皮膚に転移しやすい白血病やリンパ腫では用いてはいけません。頭部への転移の危険性にかかわらず、慎重論も多いことから、頭部冷却法を実施するにあたっては主治医との十分な話し合いが求められます。

したがって、一般的には脱毛の回避が難しいことを前提として、看護師は患者への精神的な援助や脱毛に対する具体的なケアの指導を中心とした対応が求められます。脱毛が一時的なものであり、治療終了後には再発毛が見込めることを説明し、不安感の軽減に努めることが重要です。

患者が説明を受けて一度は納得しても、治療開始後に始めて脱毛を目の当たりにした際にはその精神的苦痛によってその後の治療継続が困難となるケースもあるので、心理的サポートも必要となります。

看護師は、患者の脱毛に備えて医療用かつら、帽子、バンダナの利用に関するアドバイスを行ったり、抜け毛を目立たなくするためにショートカットを勧めたり、頭皮を傷つけないように、爪を短く切り、指の腹で優しく洗髪するなどのアドバイスを行います。