エンゼルケアは家族が患者と触れ合うことができる最後のケアです

ご遺体を人生の最後に相応しく、生前のその人らしい姿に整える「エンゼルケア」は、患者の尊厳を守るだけでなく、残された家族のケアとしても重要な意味を持ちます。

エンゼルケアは家族とともに行うことにより、患者と最後のお別れをする時間を作り、家族が少しでも納得感、満足感をもてるようにすることが目的となっています。

また緩和ケアを提供してきた看護師をはじめとするスタッフもそれまで築いてきた患者とのお別れの時間となり、終末期における無力感や後悔などを軽減することがわかっています。

エンゼルケアを実際に行うに当たっては、まず生前のその人らしい表情を作ることが重要です。面会者や弔問客は故人の顔を見て生前の思い出を創造するため、エンゼルケアで表情を整えることは患者・家族だけでなく、知人や近親者にとっても大切です。

遺族を対象として「死別後つらかったときに何が助けになったか?」という調査を行った結果、6割が「故人の表情が安らかであったこと」を挙げていることからも、安らかな死に顔やその人らしい表情を作る意義が大きいことがわかります。

エンゼルケアの具体的な方法としては、エンゼルメイク(医療行為による損傷、病状によって失われた生前の面影を取り戻すために、顔の造作を整える)や洗髪、頭皮マッサージ、顔全体のマッサージによるフェイスケアなどが挙げられます。

終末期における患者の家族は「少しでも患者の役に立ちたい」、「患者の安楽を保障してほしい」、「患者のそばに居たい」というニーズがあります。エンゼルケアは、家族が患者と触れ合うことができる最後のケアです。最後のお別れのときに患者にどうして挙げたいか、家族の以降や気持ちを聞きながら、口紅をさす、顔を拭くなどの行為を通してこれらのニーズに応えることが求められます。

ご遺体の状態は時間とともに変化するため、変化に合わせて整容すること、そして変化を最小限にとどめ移動中に家族が対処できるように指導することも重要です。罹患していた疾患や臨終時の兆候から、ご遺体に起こると予測される腐敗や硬直などに対して、適切なし手順で処置を行うことで、体液の滲出や顔貌の変化を防ぐことが可能です。

具体的には、ご遺体のクーリングにより、胸腔内温度と腹腔内温度を迅速に20度以下に下げるようにします。こうすることで胸腔内と腹腔内の細菌増殖が抑制され、ご遺体の腐敗減少を抑制することができます。